外国人材雇用者同士の「ネットワーク」を構築し、「生」の情報に踊らされない
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
㈱TOHOWORKの和田です。
今週末から史上最長の大型連休が始まりますね。
弊社も10連休を予定していますが、経営者としてはやはり10日間も会社を開けておくことは少々心配があります。
皆さんはこの連休を使ってどこか旅行に出かけられる予定はありますか?
私もそうですが、折角の10日間の連休ですから仕事のことは忘れてゆっくり過ごされるのもいいかもしれませんね。
さて、それでは今日のテーマに移っていきましょう。
今日のテーマは「外国人材雇用に関する生の情報」についてお話していきたいと思います。
外国人材を雇用する上で出入国管理手続や外国人材の指向といった情報を手に入れて知っておきたいという経営者の方は多いのではないでしょうか。
しかしながら、それらの情報は流動的であるため書籍やインターネットだけではなかなか手に入らない「難度情報」とされています。
一般の方でも気軽に相談ができる機関としては入管当局に問い合わせるという方法がありますが、ほとんどの場合、「一度申請してみなければわかりません」という回答に辿り着くことが多いです。
したがって、外国人材雇用に関する情報を入手する上では、外国人材雇用者同士のネットワークを構築して「生」の情報を得るのが有効な方法かもしれません。
しかしながら、それだけを鵜呑みにしてしまうと問題が起こる可能性があるのです。
今日はその辺りについて事例を用いてご紹介していきたいと思います。
|CASE STUDY㉚ もっともらしい「生」の情報を聞いて・・・
甲水産加工業株式会社(以下「甲水産」とする)は、鮮魚等の水産物を加工して食品製造することを業務としている。 これまで、甲水産では技能実習生や留学生アルバイトを使用してきたが、この度、甲水産代表取締役Aの知人からの紹介で中国人留学生である陳氏(男性/25歳/中国籍)を採用することにした。 陳氏は日本の四年制大学(経済学部)を卒業しており、現在「特定活動」(就職活動を目的/6か月)の在留資格を有していた。 Aは陳氏を面接したところ、その真面目な人柄に好感を持ち採用を決定した。 しかしながら、大卒者の外国人の採用が初めてだったAは、これまで技能実習生等の受入れを通じて築き上げてきた企業間ネットワークを使って、大卒外国人採用について聞いてみた。 すると「そもそも大卒外国人を正社員として雇用した場合は、水産加工の現場労働に従事させることができない」ということが判明した(在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動として認められない)。 しかしながら、Aは上記ネットワークに属する乙社から「申請書類上は「経理」担当者にすれば、許可を得ることができる。当社もその形で申請して何も問題がおきていない」というアドバイスを得たことから、自社においても同様の方法で申請してみようと考えている。 |
|解説
今回のケースのような場合、申請人であるのは雇用者である企業ではなく、外国人です。
しかしながら、その申請内容について外国人自身が理解していない場合があります。
特に、今回のケースのように虚偽申請(偽装就労)をしようと雇用者が考えている場合は、外国人はその「実質」についての理解がないことが多いです。
しかしながら、不許可等のリスクを最も負うのは外国人自身です。
多くの場合、雇用者は当該申請が不許可等になったら、単にその採用を取り止めるだけです(もっとも有形無形のペナルティを受ける可能性はあり得ます)。
雇用契約書そのものが在留資格の「許可」を条件(停止条件)としているのが通常ですので、不許可だった場合は雇用契約の法的効果も生じません。
したがって、例え、Aの決定により陳氏の申請に虚偽の書類(雇用契約書や採用理由書における陳氏の担当業務の部分)が添付され、その結果「虚偽申請」の疑いがあるとして不許可になった場合、最もそのリスクを負うのは陳氏です。
一度虚偽申請をした陳氏がそのまま日本での在留を継続するのは難しくなるでしょう。
だからこそ、乙社のように外国人材雇用者が気軽に「虚偽申請」(偽装就労)に手を出すことが多くなっており、あたかも1つの「ノウハウ」のように広まっているのが現状です。
今回のケースのAは外国人材雇用者同士のネットワークを構築すること自体は成功していますが、そこから得られる「生」の情報(イミグレーション関連情報)についての危険性についての配慮が足りないのが問題です。
そして、もしこの陳氏の申請が許可になったとしても、その後在留資格取消の対象になるのは言うまでもありません。
したがって、このような事態に陥らないためにも、外国人材の雇用者は外国人材雇用者同士の「ネットワーク」を構築すると同時に、そこから得られる「生」の情報に踊らされないよう、入管当局や行政書士等の専門家を活用するようにしてください。