入管法を知ろう(在留資格)
こんにちは。
外国人人材紹介サービス
株式会社TOHOWORKの和田です。
今朝は、ある製造業の会社さんの2次面接にベトナム人候補者に同行してきました。
ベトナム人ではかなり珍しいのですが、N1を取得していて機械、電子、ITの分野に精通している人材です。
来月には現在の学校を卒業予定とのことなので、ビザさえスムーズに取得できれば4月か5月には入社できると考えています。
日本に永住したいという彼の夢の第一歩である日本での就職ですから、うまく進むことを祈っています。
さて、今日のテーマは「入管法」についてお話していきたいと思います。
外国人を雇用する上では入管法を少し覚えておいたほうがことがありますので、今日から数回に分けてご紹介していきたいと思います。
まずは、在留資格(ビザ)について、事例を交えながらご説明していきます。
|CASE STUDY ラーメンは中国料理にあらず?
中国調理師として「技能」の在留資格で来日した王氏(男性/32歳/中国籍)は、都内でラーメン店を展開する甲フーズ株式会社が、新規事業としてオープンした本格中国料理店「上海酒店」に勤務していた。 しかしながら、ラーメン店とはスキームが異なる「上海酒店」の経営は上手くいかず売上不振に陥ってしまった。 そこで、甲フーズは、開店して3か月後には「上海酒店」を閉店することに決定し、王氏をメインの事業であるラーメン店へ移動させた。 その後、王氏は、甲フーズにおいて在留期間更新許可申請をしたが不許可となってしまった。 同不許可理由は「あなたの在留状況は、良好とはいえません」(在留不良)ということだった。 |
|解説
このケースを理解する前提として、入管当局や裁判所の「ラーメン店」の評価について考えてみましょう。
裁判例では、ラーメン店で提供されるメニューのうち、味噌ラーメン等については、その起源が中国にあるが、その後高度に日本化されたものであるため、「産業上の特殊な分野」である中国料理に当たらない、と評価したと考えることができます。
確かに、ラーメン店のラーメンが中国料理だといわれて、「なるほど」と納得する方は少数でしょう。
現在、ラーメンは日本の国民食ともいわれており、完全に「日本の料理」となっています。
したがって、入管当局は、このケースの王氏が中国調理師として活動していたのは、「上海酒店」での3か月間だけであり、その後は、日本の料理であるラーメンの調理に当たっていたと評価したと考えられます。
中国調理師として来日したのに、そのほとんどを日本の料理の調理をしていたら「技能」の資格外活動(不法就労)に該当し、その資格外活動を専ら行っていると明らかに認められれば「3年以下の懲役・禁錮、又は(及び)300万円以下の罰金」を科せられる可能性もあります。
なお、資格外活動を専ら行っていると明らかに認められなくても、「1年以下の懲役・禁錮、又は(及び)200万円以下の罰金」を科せられる恐れもあります。
また、上記の刑事罰の他に行政処分として「退去強制」となり、強制的に国外退去になる可能性もあります。
同裁判例においては、
a)当該外国人の在留資格に対応する活動と現に行っている就労活動等との関連性
b)当該外国人が当該就労活動等に至った経緯
c)当該就労活動等の状況、態様、継続性や固定性等
の3つの要件が挙げられています。
入管当局への申請においては、上記要件を理解し入管当局の審査基準を意識しながらもそれに拘泥するのではなく、入管当局の対応に対して柔軟に向き合うことが必要です。